ARTSY Facebook twitter Instagram tumblr pinterest vimeo youtube soundcloud
JP EN
グリッドを通って
後藤宙個展

2016年11月11日(金) -  13日 (日)
Frantic Gallery、池尻ものづくり学校、一階ギャラリースペース
 
後藤宙の作品は-フォーマットという面からすれば-絵画のように見えるかもしれません(ただ絵の具のストロークの代わりが糸であるというだけのことですが)。しかしよく見てみると作品の媒体、制作プロセス、つまるところ作品と観客の関係性において根本的に異なっています。後藤はまず幾何学的なロジックに基づいて金属/木の枠組みを決定します。たとえば、三角形の底辺を倍に伸ばして反転した三角形をつくり、さらにそれを対称に展開させて中心の開かれたようなひし形を生み出します。その後彼は規則的な切込と鋲に沿って一本、あるいは数カ所から始まり活力に満ちて交差し合う何本かの糸で全体の構造を覆って「縫い始め」ます。糸を引きながら彼の人間的な側面を伴って想像、無意識を持ち込みながら(指示性を持って、ある意味全体主義的な)グリッドに入り込んでいくのですが、たとえ媒体(ベース構造と糸の直線性双方)に結び付けられるようなことがあっても彼は自由や非凡さ…、逃避を求めます。こうしたプロセスは擬人的なイメージ(例えば顔あるいは子宮-人間身体の構造に基づく対称性へと意識を向けさせることになるのですが)を生み出すことができます。そしてまた三次元的効果と遠近法のイリュージョンを持つ空間(ただし不気味な、ハチの巣のような、SF映画に描かれたエイリアンの宇宙のような空間性)を創造します。不規則性と反復パターンを合わせることによってイメージは神聖さへと向かわされ、崇拝のための想像性を引きおこします。そうして遠く離れた時代と主体をショートカットしながら、同時に後藤の作品は初めて創造性に切り込む原始人とシステムそれ自体を手段としてシステムから脱走しようとしているサイバーパンクのキャラクターを呼び出します。みなさまに後藤宙個展「グリッドを通って」をご覧いただく際にも、このような概念的ヒモをお使いいただけたらと思います。


フェイスブックイベントに参加 | 作家詳細
Kanata Goto, Nexus # 1, nylon threads, steel, 70x120x5cm, 2016 Ed.5
Structure Image, wood, metal, nylon threads, 246.5x144x3cm, 2016, Ed.5
Night II, metal, nylon threads, 114×114×1cm, 2015, Ed.3
「ドローイング」
「ドローイング」シリーズで後藤は二次元平面を使ってグリッドの可能性と限界を探ります。そこでは赤い糸が木製パネルに設置されたレザーに貼り付けられています。作家は「引く」ことを強調し、その行為だけに絞って「引く」ことは「線」と「糸」両方の本来的な性質/機能であるということへ注意を促します。後藤は糸が戻る/曲がるポイントをステープルで固定して規則性を生成し、彼のグリッドを無限の可能性へと開放するのです。
Drawing - Layer, nylon threads, metal, leather, wooden panel, 45x45x4cm, 2016
Drawing - Truss, nylon threads, metal, leather, wooden panel, 45x45x4cm, 2016
「スクラップ・ワーク」
後藤は牛あるいは羊の皮革を探し出し、その動物の皮革に合わせて木のパネルをカットして木材の表面に張り合わせていきます。そのため、作品の形態は作家ではなく有機的な形態によってすでに決められています。続いて、布の糸をホッチキスで皮革に接着させます。引き伸ばされ、折り畳まれた糸の模様は、もとの有機的な形態に基づいて配置される一方で、平行や直角を辿り、自然現象から外れた法則や形態と結びついて厳格な幾何学法に準じることになります。このイメージは作家の身体が介することによって素材本体に基づいて作られますが、そのイメージ/身体は文化的な法で貫かれているのです。彼の作品は有機的なものと概念的なもの、自然と文化を合成したミュータントであり、人間の身体と文化的形態を照らし出します。
Scrap Work No.24, metal, nylon and cotton threads on leather, wood, 20×12.5×1.5cm, 2015
Scrap Work No.18, metal, nylon and cotton threads on leather,  wood, 35×17×1cm, 2015
Kanata Goto, Scrap Work No.9, metal, nylon threads on leather, wood, 31×47×1.5cm, 2015
Frantic Gallery
Ikejiri Institute of Design 309C,
2-4-5 Ikejiri, Setagaya,
Tokyo, Japan 154-0001


 
Copyright © 2016 Frantic Gallery, All rights reserved.